コバヤシ
十年。
全てが変わるには十分な時間だ。
あの時語り合った夢も、ごみ溜から這い上がる野望も、儚く散った。
殺戮現場に残された"五線譜(サイン)"は、その残骸がまだ生きてると告げる。
変わり果てた俺達が、まだ”チーム”であるのなら。
TNX『潰えし楽想のためのスケルツォ』
あの時閉じた運命の扉を、叩くのは誰だ。
PCは全員共通のハンドアウトを使用し、かつてストリートの伝説目前で潰えたチーム"四重奏(カルテット)"の一員という過去を持つ。
PCは10年前のキャストと、10年後のキャストをそれぞれ設定し、過去と現在を行き来しながら進むアクトに挑むことになる。
キャストにどんな変化が起こったか、想定しにくい場合は"Tokyo N◎VA 10 years after表"を参照すること。
PCは各員一つ、他PCには公開されない"キーハンドアウト"を手渡されて、アクトに参加することになる。
キーハンドアウトにはそのキャストだけの情報・設定・モチベーションが記されており、設定された条件で他PLに開示できる。
開示した場合、キーハンドアウトに相応しい"ミッションシーン"が適宜展開される。
▼共通ハンドアウト
コネ:"五本爪の猫(キャスパリーグ)" 推奨スート:【任意】 |
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君たちは10年前、伝説になり残った夢の残骸だ。 寡黙なヴィークルのスペシャリスト、"西風"ウェストウインドに君たち三人を加えた"四重奏"は、あの時無敵だった。 臆病なチームのマスコット、アレックス"ボーヤ"新見は、チームの勘定に入れないが、大事な仲間だった。 その真相すら理解らぬ巨大な陰謀に巻き込まれて、君たちの"四重奏"は終わった。
以来10年、バラバラにそれぞれの道を進んでいたキミたちは、もはや逢うことはないと思っていた。 だが "五本爪の猫(キャスパリーグ)"と名付けられた正体不明のサイバーサイコによる、最悪の大量殺戮事件。 そこに刻まれた一つのサインが、キミたちの運命を結びつける。 銃弾と刀傷で刻まれた、四重奏の楽譜。 キミたちのチームサインとして、最早この街で覚えているものは誰も居ないはずの思い出が、そこにはあった。 そこから、物語を終わらせるための物語は始まる。
【PS:過去に決着を付ける】 |
▼クイックスタート
クルードにはクイックスタートが存在しないため、指定はない。
キャスト作成に手慣れていない場合は、プレイ開始前にRLと一緒に作成する日を設ける形とする。
▼使用経験点
0点
▼PL人数
3人
▼スタイル制限
なし
▼使用ルールブック
基本、NAN(クルードルール)、BTD(キーハンドアウト)
NAN記載の簡易ルール"N◎VAクルード"を用いるアクトである。
通常のキャラ制作、アクト進行とは異なるため注意すること。
※"西風"ウェストウインド:当時30代女性:カゼ◎
あらゆるヴィークルに精通した、寡黙なチームの脚。
2mを超える巨軀と、ときおり見せる微笑みが印象的なヴィルヌーブ系。
※アレックス"ボーヤ"新見:当時14歳男性:エキストラ
ふとしたきっかけでチームにくっついてきた、レッドエリア出身の"お荷物(マスコット)"。
ガタガタ震えるばかりで"役立たず(エキストラ)"だったが、その純真さがチームの灯火だった。
※"四重奏(カルテット)"
10年前、ストリートの伝説になりかけた四人組のチーム。
難易度S+のミッションを立て続けに攻略し、ニューロエイジの"最先端(エッジランナー)"にあと半歩まで近づいた。
しかし正体すら定かならぬ巨大な陰謀に巻き込まれ、チームは解散。
今では思い出話にすら出てこない、ホコリまみれに夢の残骸である。
データ的には、"四重奏"の過去と未来には神業による隠蔽がなされており、忘れられた存在になっているのはその結果である。
▼クルードルール
このシナリオは、NANに記載されたクルードルールを用いて運営される。
キャストは通常のデータを持たず、シンプルな構成でアクトに参加することになる。
▼スタイルチェンジ
10年という時間の中で、"四重奏"時代とはスタイルが違っているキャストもいるだろう。
その場合、神業その他のデータは全て現在のものを使用し、過去のスタイルはデータ的な効果を一切持たないものとする。
しかし『変わってしまった自分』を表現するのに有効な手段なので、過去と現在でスタイルを変化させることは許可する。
キャストの変化にピンと来るものが思いつかない場合、下記の表を参照して良い。
●Tokyo N◎VA 10 years after表(トランプを引き、出た数字に対応した変化が10年の間に生じたものとする)
数字 | 変化 |
【2】 | キミは名声に包まれ、誰もが知る有名人になった。スタイル一つをカブキ/カリスマにする。 |
【3】 | キミは心を凍らせ、効率よく人命を奪うマシーンとなった。スタイル一つをカゲ/カブトワリにする。 |
【4】 | キミにもう、ヒリつく最先端を走る強さはない。弱く、脆く、普通になった。スタイル一つをコモン/マネキンにする。 |
【5】 | キミはけして揺るがない信念を手に入れ、それを貫いて生きている。スタイル一つをフェイト/カブトにする。 |
【6】 | キミは世界を動かすものを見つけた。ヌルい情でニューロエイジは生き残れない。スタイル一つをエグゼク/レッガーにする。 |
【7】 | キミは第一線を退き、誰かを見守る生き方を選んだ。スタイル一つをミストレス/クロマクにする。 |
【8】 | キミは燃えるような何かに突き動かされ、一匹の修羅として生きている。スタイル一つをカタナ/チャクラにする。 |
【9】 | キミは組織に魂を売った。高値で帰ってくるかは定かではない。スタイル一つをクグツ/イヌにする。 |
【10】 | キミは"あがり"にたどり着き、高い場所に登った。街の喧騒は、もはや遠い。スタイル一つをハイランダーにする。 |
【J】 | キミは一度死に、ヒト以外の何かとして蘇った。スタイル一つをアヤカシ/ヒルコにする。 |
【Q】 | キミは攻性防壁に脳を焼かれ、肉体なき電子生命となった。スタイル一つをクロガネ/ニューロにする。 |
【K】 | キミは人を超越した力に目覚め、もう一つの世界に居場所を見つけた。スタイル一つをバサラ/マヤカシにする。 |
【A】 | キミは死んだ。今歩いているのはキミの影法師、よく似た偽物だ。スタイル一つをカゲムシャにする。 |
【JK】 | キミは何も変わらない。長い年月にも、キミのスタイルは揺るがない。スタイルを一つも変更しない。 |
▼導入
このシナリオは通常のアクトと異なり、個別の導入をシナリオ内部で想定していない。
PC達はそれぞれの理由で、もう終わったはずの因縁が強く響く殺人事件に首を突っ込み、10年ぶりに顔を合わせることになる。
アクトに飛び込む理由はそれぞれのキャストに合わせて設定して良いが、悩む場合は以下の表を参照すること。
●運命との再会表(カードを1枚引き、引いたスートに対応した導入)
スート | 導入 |
【♠(理性)】 | 個人としての理由。事件の犠牲者にコネがいた、トーキーとして取材に訪れた……など。 |
【♣(感情)】 | 直感、感情、衝動。理由のないものに突き動かされ、事件の噂を聞きつけ現場に向かっていた。 |
【♥(生命)】 | 事件唯一の生存者である。当時のことは覚えていない。生き延びた理由はわからない。だが、だから退けない。 |
【♦(外界)】 | 組織としての任務。イヌとして犯罪を調査する、クグツとして対抗企業の陰謀が匂う……など。 |